全 校 読 書 タ イ ム の 取 り 組 み
高 野 靖 人

「全校のみなさん、おはようございます。もうすぐチャイムがなります。教室に入りましょう。 ………次は、『全校読書タイム』です。始めましょう」


 仰木の里小学校の朝は、「放送しますサークル」(一般の放送委員会)のアナウンスでスタートする。そして、水・木・金・土曜日の朝には、「全校読書タイム」のスタート合図で、朝の放送が締めくくられている。
 1年生から6年生まで、すべての教室で、一斉に読書が始まる。学校図書館の本・学年文庫(オープンスペースの書架に置かれている本)・公立図書館の本・購入した自分の本……と手にした本は様々である。高学年では、文庫本を読む子も見られる。どの教室にも、私語はなく、無意味に歩き回る子どもの姿も見られない。

 5月2日からスタートした「全校読書タイム」は、約1か月で一応定着した。
 提案したのは、4月の研究推進委員会である。本年度の校内研究は、本年度コンピュータのネットワーク整備がなされ、その開発活用について文部科学省指定を受けたことから、「情報を活用した探求活動・表現活動の開発」というサブテーマを設定して進めている。だから、読書とは直接関係ないのだが、探求活動・表現活動の基盤となる言語能力を高めるために、読書に親しみ、その習慣をつけることが必要だと考えて、全校的な取り組みを提案した。毎日、「朝の活動」時間(10分間)に実施するというのが、最初の提案であった。
 その後、全体研究会で協議した結果、「朝の活動」時間に学級裁量の内容を計画的に実施している学級もあったため、前述したように、水・木・金・土は「全校読書タイム」、月・火は「学級裁量」と決定して、実践している。

 担任は、職員の打ち合わせが終わり次第教室へ行き、自分も静かに読書をすることにしている。もちろん、読む本が見つからなくて困っている子どもがいれば、相談にのる。また、読書に興味を持たない子どもに対しても同様である。もっとも、研究推進委員会等で実践の交流をしたところ、現時点では、そうした子どもは皆無とのこと。どの子どもも、自分の選んだ本を手に、読書を楽しんでいる。
 その理由として、1年生から学校図書館を計画的に利用していることや学級独自の意欲付け(簡単な読書記録を残すことなど)がなされているためと考えられる。
 まだスタートしたばかりの「全校読書タイム」だが、静かで落ち着いた雰囲気の中で、学校生活がスタートすることに、子どもも教師も喜びを感じ始めている。
(大津市立仰木の里小)