読 書 ぎ ら い ?
杉 澤 周 一

 子どもの読書ばなれと読書嫌いは同じではないと思うがどうか。読書ばなれは、読書嫌いを含むが、それだけではなく好きでも読まない場合が多々あるように思う。昼休みに、図書室が空いているのは、本を読むより外で遊ぶ方を優先しているだけで、決して本が嫌いというわけではないだろう。家でも本を読むことの他に優先させることがあるのだろう。

 子どもの身近にいる教師は、本を読むことを好きな子どもが少なくないという実感をもっているのではないだろうか。自習の時間を読書にすると喜ぶ子どもは多い。黙々と読んでいる姿を知っている。時間があれば、子どもは本を読む。子どもは、本が好きなのに読む時間を見つけにくいのだと思う。

 ならばせめて、できるだけ学校で読書機会を設けたいと思う。それは、子どもへの押しつけにならないようだ。国語の時間に、感想や発問なしの多読を増やしてもいいのではないかと思う。それに何十時間も使うわけにはいかないので、読書への扉を開く授業を年間に何度か重ねたい。

 5年生で、「ヤドカリ探検隊」を読む前に、子どもたちに読書の良さについて聞いてみた。

【夢中になれる良さ】
 ・ついつい集中してしまう  ・読み出すともくもくと読める  ・最後まで読みたくなる
 ・本にすいこまれそうになる  ・本の中に入ってしまう  ・周りの音が聞こえなくなる

【物語と同化する良さ】
 ・自分もその世界にいる気分になる  ・その世界にひきこまれる
 ・主人公が自分のような気になる

【現実とはなれる楽しさ・良さ】
 ・ちがう世界にいける  ・夢がいっぱいつまっている  ・ふつうの世界とはちがう空間がある
 ・不思議なことがある  ・夢をあたえてくれる  ・知らない世界にいける

【気分転換できる良さ】
 ・気分が悪い時も元気になる  ・楽しくなる  ・いい気分になる
 ・おちつく  ・本は心の花束  ・さわやかになれる
 ・しあわせになれる  ・冷静になる

【内容の良さ】
 ・感動する  ・笑える  ・かなしいところがいい
 ・こわい本を読んでぞくぞくする  ・いい話がある

【役立つ良さ】
 ・いろんなことがわかる  ・そうぞう力がつく  ・物知りになれる
 ・作文の書き方がわかる  ・歴史のことがわかる  ・漢字がおぼえられる

 この後、「ヤドカリ探検隊」の気に入ったところを話し合って、本を読むことの楽しさや良さを確かめ合う学習をした。子どもたちの声は弾んでいた。
 子どもは、本を読むことが好きだし、そのねうちも知っている。
(能登川町立能登川西小)