詩 を 読 ん で 覚 え よ う
西 村 嘉 人

「先生、詩の勉強も音読しような。」という子どもの言葉で始まった詩の学習である。
われは草なり」と「海雀」。
 どんな学習をしようかとしばらく考えたのだが、やはり声に出して詩を読む学習を中心におくことにした。
 というのも、詩の学習に入る少し前に「五・七・五で言葉遊びをしよう」の学習テーマで俳句作りの真似事をしたのだが、五七調の言葉のリズムがなかなか作れない子どもたちが結構いたからである。言葉のリズムを体で感じさせていかないと、音読を進めても楽しさが持続しないと考えたからである。

 そこで、子どもたちには、
「これから進める詩の学習では、繰り返し読んで読んで読みまくって、覚えられたら終わりにしよう。」
と学習の見通しを話した。
「えー。覚えられへんて!」は、子どもたちの反応。
「じゃあ、覚えられないかどうか、試しに今日は『海雀』の勉強をしよう。」
と学習活動に入った。
 子どもに宣言した通り、始めから音読ばかり。比較的短い詩なので、繰り返し音読するといってもすぐに終わってしまう。
 ・5回続けて音読する。
 ・一行ずつ交替で音読する。
 ・再び一斉で音読する。
これだけでも、十数回音読をしたことになる。殆どの子どもたちがもう覚えてしまっている。
「どう?覚えられへんことないでしょう。教科書を見ないで言ってみましょうか。自信のない人は無理しないで見ながら読んでいいですよ。」
の指示に大声で暗誦を繰り返した子どもたちである。
 覚えられること分かってくると子どもたちの学習は勢いづく。「われは草なり」も1時間の学習で覚えてしまった。

 続いて、覚えたことを確かめるために「われは草なり」では視写に、「海雀」では暗写に取り組んだ。
「われは草なり」の視写では、音読で気付かなかった「伸びんとす」や「伸びられぬ」「おのれ」「あきぬなり」「美しき」「生きんとす」などの言葉に子どもたちの目が行きだした。「海雀」の暗写では、句読点の書き忘れに気付く子どもの姿があった。
 2編の詩の学習は、子どもたちにとっては実に単純な学習活動の繰り返しだったのだが、実に楽しそうに学習を続けていったのである。勿論、全員が2編の詩を暗誦できるようになったのは言うまでもない。
(彦根市立城南小)