詩の表現をまねる(3年) 「じめん」(まど みちお)
吉 永 幸 司

1.詩のよさを読みとる

   じめん  まど・みちお
 人が歩くときに 足音がするのは
 歩いているよ
 歩いているよ
 わたしが 歩いているよ
 と その足音で いいながら
 歩いているのです (以下略)


 詩「じめん」は、足音の小さな音に心を寄せている。読んでいると、小さな小さな音に耳を傾けたくなるような快さが迫ってくる。
 この詩のよさは、言葉のリズムと小さな足音に着目した内容のおもしろさであろうと考え、次の順序で指導を展開した。

(1) 詩「じめん」を音読する。
(2) 詩の言葉の中で好きな部分に線を引く。
(3) 線を引いた言葉を話題の手がかりにして、詩のおもしろさを見つける。
(4) 第一連の表現形式をまねて、詩を書く。

 詩のよさを見つけるには、音読を通して詩のリズムを体で感じさせ、線を引くことで、ないような 表現に着目させたいと考えた。

2.表現形式をまねて詩を書く
 音読を繰り返しているうちに、子どもたちは「歩いているよ 歩いているよ」という繰り返しを読 んでいくことに快さを感じていた。
 C 読みやすくておもしろい。
 C 足音はペタペタとか、コツコツなのに、言葉で言っているのがいい。
 C 足音が人みたいなところがいい。
 子どもたちのこの感想を生かし、自分たちでも詩を書こうという方向へと導いた。
<児童文例1>

 カレンダーをめくっている時
 パラパラと音がするのは
 もうすぐ春だよ
 もうすぐ春だよ
 もうすぐ春ですよ
 と めくる音でいいながら
 めくっているのです
<児童文例2>

 本のページをめくるとき
 ぺらぺらいうのは
 次を読もう
 次を読もう
 早く次を読もう
 と 言っているからです


3.書くことで好きなる
 音読の段階では、詩の大体を理解することにとどまっていた。しかし、自分で書くことにより、小 さな音に着目している詩のよさに気づく子が出てきた。書くことが読みを鋭くさせるのであろう。