国 語 辞 典 を 机 上 に
伊 庭 郁 夫

 3月17日、卒業生を送り出した。
 そして、4月9日が始業式。6年生2組の担任になった。6年生を担任するのは8回目である。しかし、いきなり6年生を担任するのは、新任の時に体験して以来2度目だ。ふと、その時の記憶が甦る。一年勝負なのだ。その時の卒業式は、涙が止められなかった。

 さて、6年2組の子どもは男子14名、女子13名の計27名である。6年生だけが3クラス。他の学年は、2クラスとなった。
 子ども達は、「先生がこわい」という印象があるらしく、最初は緊張している。明るく、素直な子どもが多い。係活動にも意欲が感じられる。新聞係がアンケートをとっていた。「先生のことをどう思いますか」というものである。アンケート結果には、
 ・おもしろい   10人
 ・ちょっとこわい 2人
とあった。

 国語の授業は、「素直な疑問符」が最初である。一読して、感想を聞くと、「よくわからない」という反応が多かった。
 そこで、「文章を書くとわかるかもしれないよ」と言いながら、全文視写をする。教師も黒板に書く。それでも、 「てらう」「かしぐ」などの言葉の意味や全体のイメージが解りにくいようだ。そこで、
「国語辞典を使って調べるとわかると思うよ。」
と促す。次時からさっそく国語辞典片手に国語の授業に取り組むことにした。

 次の「加代の四季」では、国語辞典の使い方も随分慣れてきた。全文を視写したあと、秘密探しをしていく。自然に、解りにくい言葉は国語辞典で意味を調べるようになってきた。
 ところが、目の前に座っているK児は、社会の時間も国語辞典を机の上に置いている。
「社会の時間は、国語辞典を使わないよ。」と言うと
「先生、解らない言葉は国語辞典で調べます。」
と言って「古墳」「銅鐸」等の言葉を示した。なるほど、子どもの方が柔軟である。国語辞典は、学校に置いておき、いつ使ってもよいことにした。

 また、「加代の四季」では、音読にも取り組んだ。各班ごとに読む場所をくじで決める。そして、工夫しながら音読するのである。
 読む箇所を分担したり、声を合わせて読んだりと工夫が見られる。
 テープに録音することで、緊張感が生まれる。この1年、録音や録画で記録を残しながら、国語の授業に取り組むことを子ども達に宣言した。
(安曇川町立安曇小)