巻頭言
独  り  言
本 田 愛 一 郎

 小学校の時から作文が苦手だった私が、まさかこの歳になって原稿依頼を受けるとは思ってもいないことでした。ましてや、国語教育に関心をお持ちの先生方の機関紙だなんて、一挙に小学生に舞い戻ったような気がします。
 そんな私が何を書けばよいのか、内容は何についてでもよいのだなんて、あの自由課題の作文そのもの。あの時と違うのは、何か書きたいことはあるのかと模索し、いろいろ考えたことです。
 子どもの時には、なかなか出てこなかったテーマですが、この歳になるとわりあいすんなりと出てくるのが意外でした。
 そこで、思ったことを書き出すことにしました。

 ここ最近思うことは、いつ頃から大人としての責任感を持って行動するようになってきたのかということです。いつから大人と呼ばれ出したのかは分かりませんが、家庭を持ち、親となり、私より私の家族を大切に感じたときからなのでしょうか。
 いろいろなメディアで取り上げている数々の社会問題として、政治不信と言っては選挙にも行かず、不景気・不景気と言っては海外旅行に殺到し、お金がないと言ってはバーゲン・ブランド品に殺到、環境問題を取り上げた集会の後ゴミが散乱、COP会議の警備車のエンジンがかけっぱなし等々、書き出せばいくらでも出てきてしまいます。子どもたちがこの現実を見聞きし、はたしてどのように感じ、考え、どのような夢を持つのでしょうか。

 今がよければそれでいい、誰にも迷惑を掛けていなければそれでいい、という考えがほんとうに多くなったと感じます。自分のしたいことは、すぐに行動に移すが、いやなことは目をそむけて知らんふりをする。
 ある漁協では、以前の豊かな海に戻すために、漁師が近くの山に植林をしておられ、それは孫子の代に伝え渡すためだそうです。
 これからの子育てや教育環境、果たしてこれからの社会は、どのように進むのでしょう。義理・人情を考えるのはもう古いことなのでしょうか。

 以上のようなことを書きつづりましたが、やはり小学生の作文のように、ただただ文章を並べるだけで、結局まとまりの付かない文章になってしまうのは、持って生まれたものなのでしょう。
(仰木の里小学校PTA会長)