説 明 事 典
吉 永 幸 司

1.説明するということ
 説明をする力が必要と感じる場面が多い。事情の説明・事柄の説明など。保健室で自分の怪我のことが説明できない。けんかの事情が説明できないなど日常生活では珍しいことではない。
 相手に理解できるように説明できるかどうかは大切な能力であろうと考え、3年生で短作文・説明文を書かせる指導をした。

2.相手・目的を意識させる  説明をするということは、説明をする事柄に精通していることが前提になるが、それ以上に、相手目的を明確に持つことが大事であると考え、次のように展開をした。
○目標
 ・説明をするときの大事なこととして相手・目的が大事なことを理解する。
 ・相手・目的を意識して説明文を書くことができる。
○学習活動の概要
 (1) 「りんご」について説明をする。
 (2) 「りんご」の説明から大事なことを考える。
 (3) 相手、目的を決めて説明する内容を考え文章を書く。

3.学習活動の実際
○誰に説明をしているの?
T 「りんご」を説明できますか。
C 赤くて丸くておいしい果物。
T 今の説明を聞いていて、もっと知りたいと思いましたか。
C 思わない。知っているから。
T そうですね。知っている人には面白くも何ともないね。友達同士だったら、りんごのおいしい食べ方とか、おじさんの所から送ってもらったことなど内容が変わるね。りんごを知らない人にだったら別の説明のし方があるのだね。(相手によって内容が変わることを理解させた。)
○相手を決めて説明文を書く
 相手や内容を例示して作文を書かせた。授業のポイントは例示である。例示は次の通り。
相手…妹・弟・昔の人・宇宙人・滋賀県を知らない人・となりのおじさん・その他自分で考える
内容…琵琶湖・教科書・学校・漫画の本・テレビ・サッカー・バナナ・鉛筆など
 例示の効果は、学習がイメージできることであった。
○児童文例
 琵琶湖を知らない三年生の人に説明します。絵にかくと真ん中が太く南の方がほそくなっている湖です。滋賀県のまんなかにあります。滋賀県の宝みたいなのです。くわしくいうと…(略)

 おかあさん。今日は一時間目は算数でした。しっかり勉強したから安心してね。二時間目は体育でなわとびをしたよ。
(大津市立仰木の里小)