「ことわざ辞典」を作ろうから
中 嶋 芳 弘

 「作文」で授業に入っている6年生。学習は「ことわざ」に入った。教材文を読み、ことわざに興味を持ったところで、「自分が使ってみたいことわざを集めて『ことわざ辞典』を作ろう」と呼びかけた。
 思い思いに家にあったことわざ辞典や図書室で借りたことわざの本、買ってもらったばかりのことわざ事典を持ってきた。一つ一つ取り上げ、紹介する。だんだん、ことわざが身近なものになっていく。

 Sくんは、「兄にインターネットで検索してもらって、プリントしてもらって持ってきました」と、プリントされたホームページ「ことわざじてん」(http://www.sf.airnet.ne.jp/swata/swkoto.html)を見せに来た。それに刺激されて家にコンピュータのある子が別のホームページをプリントして持って来る。コンピュータやインターネットが子どもたちの生活に急接近している。(授業の一こまが、かつて文字が、活字がそうであったように、情報の偏在を予見しているように思う。)

 授業の中でも、コンピュータを取り入れて「ことわざ調べ」をする事にした。コンピュータの操作にまごつき、ホームページを探すのに困っている仲間にSくんのアドバイスが光る。
 情報処理能力といえば単純にコンピュータ利用と思い描く。しかし、その内容は単純ではない。
 ○ハードとしてのコンピュータの使い方。
 ○使おうとするアプリケーションソフトの使い方。
 ○インターネットのこと……
 中でも、大切なのは情報を取捨選択する能力であろう。ある検索エンジンで「ことわざ辞典」と検索すると148313件という膨大な数字があがってきた。まさに、情報の海である。コンピュータ操作の面は、技術者の努力が遠からずコンピュータを意識することなくテレビのように扱える時代を呼び寄せるだろう。それは、今以上に多くの情報が双方向に行き交う時代である。しかし、双方向に行き交う情報を選択する力は学習しなければ身に付いていかない。

 子どもたちを情報の大海原に漂流させることがないように、どのように情報を選び取り、どのような情報を発信するのか。そして、その際のモラルは……。教えておかなければならないことがたくさん見えてくる。情報のむこうには意識されなくなっていくコンピュータを介して国家をすら越えて生身の人間が息づいているのであるから。
(彦根市立旭森小)