第5回「新しい国語実践」の研究会
新 世 紀 の 国 語 実 践
高 野 靖 人

 昨年末、恒例の「新しい国語実践の研究会」に参加した。第5回は、愛知大会で、蒲郡が会場であった。
 第1回の群馬大会以降、年末には実践者が集うこの大会に参加して、次年度へのヒントと活力を得て帰途に着くことが習慣となっている。(第2回滋賀大会では、実行委員の一人として参加した)
 さて、今回の愛知大会で印象的だったのは、2日目の「実践提案・小講演による提言」である。全体提案というこの大会としては珍しい2日目の設定であり、愛知大会の特色を一番表したキーポイントだと感じた。また、小講演の講師がお二人とも文部省の教科調査官である点も、特徴的であった。

 その「実践提案」の提案者は、愛知県田原町立田原中の中川先生で、テーマは「個々の生徒のコミュニケーション能力を育てる3・3スピーチの授業」である。ここでいう「コミュニケーション能力」とは「伝え合う力」と同義とのこと。また、聞き慣れない「3・3スピーチ」とは、生徒が三人組になり、「話し手」「聞き手」「評価者」の三つの立場を順番に経験する授業で、「スピーチタイム」「コミュニケーションタイム」「評価タイム」が、ワンラウンドとなる。「コミュニケーションタイム」とは、スピーチに関して「聞き手」が「話し手」と対話する時間のこと。
 この提案で、特に学んだことをまとめると、
○ ビデオやパソコンが効果的に使われていて、わかりやすかったこと。「伝え合う力」の授業分析や提案では、こうした機器活用がこれまで以上に不可欠になると思う。
○「話し手」は、スピーチ原稿を書くのだが、原稿をそのまま読んだり、暗唱したりしないように指導されていたこと。育てたい力が明確である。
○「コミュニケーションタイム」があることで、「聞き手」の集中力が増し、話し合いの練習もできること。
○「評価タイム」で「評価者」が講評を述べるためのもととなる「評価カード」が工夫されていたこと。
○中学1年生から3年生まで、計画的に(年間5〜8回)「3・3スピーチ」が設定され、それぞれのテーマにも工夫がみられること。

 中学校での実践ではあるが、学ぶ点が多かった。この後の小講演で、文部省の河野調査官が述べられた「魅力的な国語教室の創造」や、小森調査官の力説された「国語科の再構築」についても、今、咀嚼している状態である。
 新世紀を迎え、もう一度新しい学習指導要領に目を通し、子どもたちの姿をそこに映すことから、新たな一歩を踏み出したいと考えている。
(大津市立仰木の里小)