つ ぶ や き の 「 詩 」
岡 嶋 大 輔

 国語が持つ魅力の1つとして、自分の思いが出せる、もしくは、相手の思いを知ることができるということがあるのではないだろうか。
 学級の子どもたちを目の前にして思っていたのほ、感情をうまく言葉にできないということであった。3年生ということもあるが、言いたいことが言えなくてつい手が出てしまう子ども、いつものように「ムカつく」と繰り返している子どもなどなど。担任として、何かできることがないかと考えて次のような1時間の授業をした。
 始め、私が作った1つの詩を黒板に書いた。

 うれしいなあ
 天気の日って
 だって、
 ぽかぽかしていて
 きもちいいんだもん。


この詩に。合わせて、

 〇〇〇〇〇〇(だなあ)
 〇〇〇〇〇〇って
 だって、
 〇〇〇〇〇〇(だもん)

という形の詩を作るようにした。
 まずは即興でできた子どもの発表で慣れさせた。そして、「うれしいなあ」の部分、心のつぶやきにどんな言葉が入るかをできる限りたくさん考え合った。
 いいなあ、つまんないなあ、いやだなあ、悲しいなあ、うきうきするなあ、やさしいなあ、等々、3年生でもこれだけ知っているのかと驚かされるほど多く出てきた。
 そうして、それぞれが先程の形の詩を書き始めるようにした。

 いいなあ
 ねこって
 だって、
 人にすかれるんだもん。

 こわいなあ
 お父さんって
 だって、
 おこるととてもこわいんだもん。

 きれいだなあ
 ほしって
 だって、
 くらい夜がさみしくないように
 してくれるんだもん。


 この3つは同じ子どもの作品である。この子どもは、いたずらをしてみんなから怒られることがたまにある。また、指導を加えないといけないような問題行動を起こすことも何度かあった。
「ほら見て、いい詩やろ」と明るく見せに来る。書く側は、これで何かを訴えてやろうなどという考えで書いているわけではないのだが、他の子にしても同様、心のつぶやきがピタッと言葉に合い、それを表現できたとき、こうも明るい顔になるんだなと教えられた瞬間だった。
(甲賀町立佐山小)