授業紹介
あ な た は ど っ ち ?
一丸八重美 教諭(大津市立仰木の里小)

 「あなたはどっち?−−がまくんとかえるくんについて話そう」は、話すこと・聞くことを主な学習活動に位置づけながら読書指導を見通した全15時間の単元構想である。
 前半は教材「お手紙」を通読し、場面ごとの読解が中心になる。その過程で読むことの力を蓄えながら、主人公への親近感を深めていくという学習が続く。この段階で9時間の授業が続く。一人一人の子どもの確かな理解を求めるには、このくらいの時間が必要という判断である。

 2年生なりに読むことへの独り立ちができた段階を見計らい、アーノルド・ローベル著・三木卓訳の絵本を読ませる。
 「ふたりはともだち」シリーズ「おはなし」「なくしたぼあん」他2編を読ませる。さらに「ふたりはいつも」シリーズ「おちば」他4編、「ふたりはきょうも」シリーズ「ひとりきり」「ぼうし」とがま君とかえる君シリーズ三昧である。

○かえるくんのにわをきれいにしてあげてやさしい。(おちば)
○かえるくんへ。よかったね。ぼうしがかぶれるようになって。よくそんなに大きなことを考えるようになったね。(ぼうし)

 読書の感想を「かえるくん」「がまくん」へのお手紙の形式で残している。

◇いろいろな作品を読むことで、がまくんやかえるくんの人物像をふくらませたい。
◇一人読みをさせたり、読み聞かせたりして、お話の出会いに興味を持たせたい。
 指導案には、教師の意図がこういう表現で示されている。読む・書くを連動させながら、もっと考えたいという意識を高めていく。「あなたはどっち」はこのような蓄えを足場にした話し合いである。形式はディべートであるが単なる言い合いではない。

T 「がまくんとかえるくん」のステキなところを話そう。
C かえるくんのいいところは最後まで信じていたところです。
T それは、どのお話からですか。
C 「お手紙」です。
 このような意見を交わしながら、自らの理解を表現したり、友達の考えを知ったりする。
 この後、評価は、子どもたちが知らない、がまくんとかえるくんのお話の山場を予想するという展開である。

 主人公や登場人物に思いを寄せながら、読書をする。蓄えたことをもとに思いを交流するというどこまでも緻密で、子どもに学びの方向を定かに見据えた重厚な授業であった。(吉永幸司)