本棚  数の悪魔 算数・数学が楽しくなる12夜
エンツェンスベルガー著 ベルナー絵 丘沢静也訳 BK1
晶文社 2000.9. 1600円

数の悪魔
 国語教育には関係ないが、算数の授業もする小学校の教師なら知っておいて損はない本である。

 算数なんか大きらいな少年ロバートの夢のなかに、ゆかいな老人「数の悪魔」があらわれ、真夜中のレッスンがはじまる。最初は嫌々つき合っていたロバートも、だんだんおもしろくなって、数の悪魔が来るのを心待ちにするようになる。

 取り上げられるのは、1や0の不思議、素数、無理数、平方根、フィボナッチ数、パスカルの三角形、順列、組合せ、無限と収束、オイラーの公式……と、中学や高校の数学で苦労したものばかり。でも、小学生にも分かるような話題で説明されるので、途中で訳が分からなくなることはない。

 私は一気に読んでしまったが、電卓やコンピュータで計算しながら読むと、もっとおもしろく読めるだろう。
「数学ぎらいが治ります!」と帯にあるが、さてそこまでは? しかし、算数の時間に、この本に取り上げられているような話題を紹介していくと、子どもたちが算数に興味を持つきっかけになるだろう。 (常諾真教)