対 話 の 手 法 で 読 み を 深 め る
吉 永 幸 司

 4年生の子ども達に詩「夕立」を指導した。
 夕立   みかみかずよ
夕立がきた
あつい空気が
じゅっと
けむりになった
レンガべいの上を
大きなアリが
うろうろ

夕立がやんだ
せみたちが
ぴーんと
いっせいに羽をふるう
木の幹はたたかれて
ぎんのしずく
詩を読み終わった子ども達に
「あなたの目の前にどんな様子が浮かんだか」という意味の働きかけをした。
C アリがうろうろしている。
C せみが羽をふるっている。
 子ども達の発言は、詩の中にある言葉をなぞるだけであった。そこで、夕立の来る前の様子、夕立が降っている時の様子、更に夕立の止んだ後というように時間的な順序をはっきりさせて読ませた。
C アリがかわいそうにと思っている。
C 小さなアリを大きなアリと書いているのがいいな。
C 「夕立がきた」と「夕立がやんだ」とはよく似た言葉を並べているので読みやすい。
C ぎんのしずくがきれい。
 詩の表現に着目をした発言が生まれた。しかし、本当に、夕立の状況を描いているのかどうかに不安を感じた。

「絵に書くとしたらどんな絵が描けますか。」
と発問を変えた。簡単に書かせた結果、アリを書く子が多かった。絵の中に雨粒が描かれていないのが気になった。
 そこで、アリになって対話をさせた。
 A 今日は暑いね。
 B 夕立が来そうだね。
ここまではみんなで作って、2人で考えさせた。
 A 夕立がきたぞ。
 B 早く雨のこないところへいこう。早く、早く。
 A 大きい雨つぶだ。
 B いたいよ。いたいよ。
 A レンガの上からすべりそう。
 このような対話が生まれた。
 アリになることによって、様子がはっきり描けたのである。

 この授業の効果は、事柄の理解で安定する読みを揺さぶり、対話という活動を生かすことにより、読みを深めたことである。
(大津市立仰木の里小)