お 見 舞 い の 手 紙 を 書 く
吉 永 幸 司

 手紙を書く指導をした。動機は学級担任が病気で休んでいた時の授業である。
 「先生にお見舞いの手紙を書こう」と呼びかけた。どの子も素直に肯いたが、「お元気ですか」ということしか子ども達の思いは広がらなかった。
 「手紙を書いた経験のある人」と尋ねたが、あらたまって書いたという子は少なかった。そこで次のようにを指導をした。
 (1) 手紙の形式を指導する。(前書き・本文・後書き)
 (2) 前書きを書く。
 (3) 本文を書く。
 (4) 後書きを書く。
 特に力を注いだのは前文である。

 前書きの指導は難しかった。
「先生に、今の様子を伝えよう」と働きかけた。
「運動場には自転車がならんでいます。今日は、交通教室です。」
 これは、窓から運動場を見ていた子がつぶやいたことを、そのまま文にしてはどうかなと働きかけて書いたもの。
「空はくもっています。今日はプールで泳ぐのを楽しみにしています。でも、泳げるかどうか心配です。」
 この文は、今の気持ちを書くというヒントから生まれたもの。
「教室の『元気』という習字が今日は元気がありません。先生の病気を心配しています。」
 教室の掲示板を見ながら書いたもの。
 次々と出来上がった文を読み上げながら前書きのイメージを広げていった。

 本文は病気の先生に自分の気持ちを伝えたり、教室の様子を伝えようと働きかけた。
「先生は今日から一週間、病気で休まれると言われました。今日はたくさんの先生が来てくださいました。自転車教室もあります。」
「いま、手紙を書いています。先生が、元気になってもらえるようにみんな心を込めて書いています。」
というように、今の様子や自分の気持ちを書かせた。

 手紙文の指導で大事なことは次の事であることを、指導を通して確かめることができた。
 ○病気で休んでいる先生に書くという相手がはっきりしていた。
 ○先生に今のことを伝えるという目的が、子ども達には分かりやすかった。
 ○手紙の形式を知ることであらたまった気持ちで書くことができた。
(大津市立仰木の里小)