本棚  あえて英語公用語論
船橋洋一 著 BK1
文春新書 2000.8 710円

あえて英語公用語論
「総合的な学習の時間」が創設され、小学校でも英語教育ができるようになったことを受けて、いち早く英語を取り入れる学校があったり、新聞紙上で小学校での英語教育の是非が論じられたりしている。しかし、その後の「二十一世紀日本の構想」懇談会の報告書で提起された「英語公用語論」と結びつけて論じられることは少ないようだ。もっともこれはこれで、「公用語」の定義があいまいだとか、日本語がだめになるとか、反論もなされている。

 そんな状況の中で、著者は、
「英語を単に英語教育や英語行政の問題としてのみ捉えてはならない。それを、日本の世界との関係、少し大げさに言えば、日本の戦略の問題として考える必要がある」
「戦略の問題とは、世界の中での日本の生き方と処し方の問題です」
「それを遂行するには、国際語である英語のリテラシーとそれを使いこなすコミュニケーションの能力なしには、実際問題としてできない」と述べている。

 過去の失敗や過ちを振り返りながら、一部のエリートだけに任せておくのではだめなことや、バイリンガル人口の目標設定が必要なことなどが説かれる。
 グローバルな観点から、小学校の英語教育も考えてみてはどうだろうか。(常諾真教)