合 同 研 究 会 で 学 ん だ こ と
高 野 靖 人

 夏休みの恒例となった、国語研究集団合同研究会。本年度は、8月26日・27日に静岡県清水市で開催された。本来なら「さざなみ」からも多数参加し、提案等の役割を担う予定だったのだが、開催日の関係で(滋賀県では、夏休み最終の土日に奉仕作業を行う学校が多いため)、両日参加できたのは、私一人(一日参加は2名)という状態で、運営していただいた「泉の会」には迷惑をかけてしまった。しかし、私個人としては、得ることの多い研究会だった。

 第一の成果として、1日目に提案されたお二人(泉の会・豊泉先生、竹の会・吉田先生)の資料に、詳細な授業記録が示されていたことをあげたい。教師の動きや発問、子どもの発言やつぶやきなど、授業の息づかいが伝わる資料で、提案後の討議でも、授業記録に基づいた具体的な提言も多く、参考になった。こうした記録を残し、分析研究することの大切さについては、当日の最後に「新教育課程と新しい国語学習」と題して講演された静岡大学教育学部教授の高木展郎先生も絶賛され、「教育課程は、子どもの事実・現実を積み上げてつくるべきであり、教室の事実を読み解くことが大切だ」と述べられた。加えて、「固有名詞を持った子どもを語る」ことの大切さを述べられた点が、特に印象に残っている。

 さて、成果の大きな二点目は、2日目の提案(東風の会・多賀先生)で、「話す・聞く」としてセットで扱われがちの、しかも「話すこと」の指導が主体になり、やや受け身な指導になりがちの「聞くこと」を学習指導の正面に据えたユニークな提起であった。「聞くこと」のみに集中できる授業のアイデアも多彩であったが、「静かに聞きなさい、といった態度面の指導に終始するなら、1年生に対しても6年生に対しても同じ指導をすることになる」という指摘は、特に印象に残っている。私の勤務校でも、「話す・聞く・話し合い」といった言語活動を中心に伝え合う力の育成を校内研究のテーマにしているが、特に「聞く」指導の系統性は課題の一つであり、考えさせられた。

 他にも、成果は多々あったのだが、やはり最後にあげるべきものは、同好の士と再会・交流できた喜びであろう。
  盟友 聚攅す 三保の松
  富嶽を 贍望して 双瞳を凝らす
  言文の考究 功愈倍し
  更に研鑽を誓って 気自ら雄なり

 毎回、この合同研究会に漢詩を寄せて下さる岡田嘉宗先生。今回寄せていただいた上記の漢詩を反芻しながら、三保の松原を後にして帰路に就いた。
(大津市立仰木の里小)