少しずつ人前で「話せる」ように
岡 嶋 大 輔

 とても「おしゃべり」が大好きな3年生。しかし、たくさんの人の前で改まって「話す」となると、なぜか声が小さくなってしまい、なかなかはっきりと話しにくいというのも現状である。
 一日一人の朝のスピーチを繰り返しながら、なんとか教室の前でメモを見ながら、話すことができるようになった。

 さらに、人前で自分の伝えたいことを堂々と話せるように、場慣れが必要だと考えた。
 始めは、短い物語を十数名で分担し、自分の分担した文を責任を持って音読するようにした。何度も繰り返し練習することによって、声を出すことへの抵抗がなくなり、大きな声を出せた子が多かった。 次に、短い詩を七、八人のグループで自由に読み方を考えて群読するようにした。声の強弱、間の取り方など、読み方にいろいろな工夫ができることに気付くことができた。

 次に、自分の好きなこと、がんばっていること、得意なこと等の自分のことについて、二人組を作り一人の友達に向かって話すことをした。メモを見ながらでもいいので、相手の顔を見ながら話すことを約束とした。聞き手は質問や感想を言い、話し手はそれを聞いて、少しずつ話す内容を増やしていくようにした。二人組の相手を替えながら話の交換を繰り返していく内に、メモを見なくても始めより詳しく流暢に話せる子が多くなっていった。

 ここで、その内容については、だいぶん話すのに慣れてきたと考えたので、それを、体育館の壇上に一人立って、学級のみんなに向かって話すようにした。
 前を向いて話そう、ゆっくり落ち着いて話そう等、それぞれのめあてを持ちながら、体育館での発表会を始めた。少々緊張しながらも、どの子も、今までの教室でのスピーチ以上のできばえで話すことができた。
「きんちょうして、一つ話すことをわすれた。」
「ドキドキしたけど、話しているうちに楽になっていった。」
「校長先生になったみたいで、楽しかった。」
等、初めての体験に対する感想も様々であった。

 しばらく後、全校集会で「楽しかったこと」をテーマに一言ずつ話す機会をいただいた。少しずつ自信を持って堂々と話せるようになってきたなと感じさせる姿がそこに見られるのは、とても嬉しいことである。
(甲賀町立佐山小)