本棚
子どもの危機をどう見るか
著者は、「子どもの危機とは、社会の危機」であると言う。 T章では、子どもの危機の典型的な現象である<学級崩壊、新しい荒れ、いじめ、虐待>の4つの面から、危機の実像が描かれる。 U章では、「状況がここまで深刻化しているのは、社会の劇的な変化によってもたらされた構造的な危機」であるという認識に立って、<学校、教師、家庭、社会、子ども>の5つの領域から危機の背景が明らかにされる。 V章では、危機から脱出するための方向が、<学校、授業、子育て>の3つ場で示されている。 著者の主張は、あとがきの中で、「子どもと大人のパートナーシップの実現こそ、私たち大人の最大の課題である」「子育てと教育の社会化」の2点に集約されている。 今、学校は変わろうとしている。横並びを排して、学校の特色を出し、主体的にと言われながらも、指示された方向に一斉に向かっているように見える。教育改革の流れの中でやむなく、取り残されまいとしてその変わり方を模索している。 しかし、文部省・教育委員会の示す道だけではなく、もっと他の視点もあることを知っておく必要があるのではないだろうか。一読を勧めたい本である。(常諾真教) |