子どもを変えるのは授業、授業を変えるのは子ども
中 嶋 芳 弘

 8月1日「第9回新しい国語の授業研究会」が大津市の勤労福祉センターで開かれた。

 4年生「白いぼうし」の実践を報告された坂田小学校の西秋英子先生。パワーにあふれなかなかまとまりをも見せてくれない子どもたち。うまくいかない授業に悩んでいたある日、「ガオーッ」の授業の中でディベート的な話し合い活動を持ったところ、
「楽しかった。」
「何かすっきりした。」
「すっごくがんばった気がした。」
 こつこつと「書く」とか、じっくり「読む」ことより、「話し合う」というその場で考えることを求められる学習に手応えを感じた子どもたちの声が返ってきた。

 そんなわけで、「聞く・話す」をたくさん取り入れていくことで、みんなで学ぶ充実感のある学習をと構想を練る。パネルディスカッションをイメージする。一つのテーマのもとに自分の考えを出し合っていく活動である。討論の場では自分の意見を言うだけでなく、他の人の発言に耳を傾けなければならない。本来はパネリストを選出してと考えるが、子どもたちの様子を見てみんなが発言したそうだと感じて、あえて発言者の人数を制限しない。

 次に、子どもたちが活動をイメージしやすいネーミングを考える。ニュースになっていた沖縄サミットにイメージを借りて「白いぼうしサミット」と、実践が構想されていった。
 まず、さまざまな形で音読を数時間。実は、この読みの時間がその後の学習を支える。そのうえでの「サミット」という投げかけ。乗ってくる子どもたちとともに、テーマを考える。
「『白いぼうしの○○』の○○に どんな言葉が入ると、みんなのサミットのテーマになるかな。」
子どもたちとの生き生きとした学習が始まる。

 教室を離れ、プレイルームに机といすをセットし、マイクを用意する。ちょっとした緊張感が子どもの学習を盛り上げていく。経験が乏しくマイクの使い方も今ひとつ。大勢の前で話すことも十分にできない。聞くのも苦手。メモを取るのも苦手。それでも、一人ひとりに目を向けると確かに、苦手な何かを乗り越えている。実は、乗りこえたのは教師なのだと西秋先生は伝えてくださった。

 大津市立田上小 渡辺直子先生は、6年生「ディベートを楽しもう(クラス討論会)」を提案された。参会の先生方にディベートを体験してもらいながらの提案は、より「聞く」者を主体的にしていた。学習をより主体的なものにするのは、活動に参加すること。参加したくすることである。
(彦根市立旭森小)