国 語 が 好 き ・ 子 ど も が 好 き
伊 庭 郁 夫

 「新しい国語の授業研究会」の午前中は、実践報告が二本あった。西秋先生と渡辺先生の実践である。
 そのお二人に共通するのは、国語科に対する熱い思いである。

 西秋先生は、「国語が好きです」と聴衆の前で、はっきり発言された。シンプルであるが、心に響く一言であった。先生には、努力しなくても「総合的な学習と国語科の関連」に関する優れた実践があるにもかかわらず、学期末の忙しいときに「パネルディスカッション」の取り組みをされたことからもわかる。
 また、渡辺先生の「ディベート」の授業を二度拝見したことがある。一回目は、事前研究会なので、授業を公開する必要はない。それでも、授業を通しての研究会を持たれた。そして、ブロック研究会では、フロアーも巻きこんだアイデア一杯のディベートの取り組みを公開された。そこには、子どもの思いを大事にされる先生の前向きな姿があった。

 さて、西秋実践の素晴らしさは、大きく三点ある。その第一は、アイデアの豊富さである。「沖縄サミット」の開かれる時期である。「白いぼうしサミットをしよう」という形で授業を提案されている。また、プレイルームを利用したり、マイクを用意したりと場づくりも巧みである。
 第二は、「積み上げ」があるという点である。サミットのテーマについても、「題名」や「夏みかん」などにも目を向けている。「夏みかんに込められた意味は、人と人をつないでいるのではないか」という子どもの発見などは積み上げがなければ出てこない。
 第三は、音読を大切にされている点である。いろいろな方法で音読を繰り返す中で、松井さんの優しさや作品全体のイメージが自然と学習されていた。

 次に、渡辺実践についてである。
「漫画を見るのに、本がいいか、映画がいいか」という論題でディベートをされた。
 第一に、論題の適否が重要である。この論題は、漫画が子どもの身近な内容であると共に、本がいいか映画がいいかという点がポイントである。活字・文字言語か映像・音声言語かと置き換えてもよい。言葉に関する論題でディベートする事が国語科の授業として大切であろう。
 また、役割分担をしっかりし、黄色いメモカードで、フロアーの意見も織り交ぜながらディベートを進めていくという方法は斬新である。クラス全員が役割を持ち、思いを伝えあっている姿は真剣であった。
(安曇川町立安曇小)