本棚  不登校の解法 家族のシステムとは何か
団 士郎 著 BK1
文春新書 2000.1. 690円

不登校の解法
 「問題解決に原因は要らない」として、因果論とは別の解法が示されている。それが家族システム論である。
『問題が問題なのではない。問題解決が問題なのだ』…問題や悩みの起きない子育てはありません。だから問題が起こるのは普通です。そうすると親は大抵、なんとか問題を解決しようと自分たちなりの努力をします。それにもかかわらずくりかえされてしまうのは、問題が難しいのではなく、解決努力に効果がないのです。その結果、問題は固定化し、いつまでも残ってしまいます。問題と無効な解決努力との堂々巡りです。この状態をひとつのシステムと考えるのが家族システム論です。

 システムと呼んでいるものは、ことの善し悪しではなく、そのように存在するものです。そしてそれがたくさんの他の要素と絡まって現状を作っているのです。ならば解決を目指して、次に行えることは決まってきます。何がよくないかを考えるのではなく、何か一つの異なる方法を試みてみることです。そして現状を変化させることです。…いちばん大切なのは、因果論以外のこういうとらえ方があることを知ることです。
ここで述べられている家族の状況は、誰にも思い当たる問題である。(常諾真教)