犯 人 を さ が せ !(5年)
池 嵜 繁 伸

 「メモを取りながら話を聞くことの大切さに気づき、工夫してメモを取ることができる」という目標のもと、特設単元を設定した。国語科の学習の中で、メモを取りながら友達の話を聞き取り、それをもとに話し合う活動は、何度か経験してきている。しかし、メモの重要性を自覚している子どもは少ない。また、メモの取り方の工夫についても十分指導できていないのが現状である。
 そこで、まずメモを取らなければならないという必要性を自覚させるために、次のような学習活動を 行った。1時間の主な活動の流れは次の通りである。

 @本時の学習のねらいを知る。
  ・犯人に関する情報を聞く。
 Aメモを取りながら犯人に関する情報を聞き取る。
  ・1グループ6人でチームを組む。
  ・教室と図書室に分かれて、犯人に関する別々の情報を聞く。
 B犯人に関する別々の情報を伝え合い、絵の中から犯人を捜す。
 C本時の学習をふり返る。

 犯人の情報については手紙文形式にし、前半と後半に分けテープに録音しておく。
 この学習のポイントは次の二つである。
 一つ目は、メモを取らずに聞いただけでは犯人の情報が聞き取れないことに気づき、2回目に情報を聞く際には、どの子も自らメモを取ろうとすること。
 二つ目は、1グループが二つに分かれて別々の情報を聞くため、犯人を捜し出すには、情報を伝え合わなくてはならない点である。
 学習中子どもたちは熱心にメモを取り、話し合いも活発に行えたが、犯人捜し遊びに終始し、メモを取る意義を自覚するまでにはいたらなかった。

 次に、メモの取り方について指導するため、実際に教師がメモを取っている様子をビデオに録画し、メモの取り方のポイントについて考えさせた。意識させたいポイントとしては次の4点である。
 ・文章を書こうとせずキーワードのみをメモする(単語で書く)
 ・箇条書き
 ・省略表記
 ・図や矢印の工夫
 ここで用いた教材ビデオは、あらかじめ録音しておいたテープを聴きながらメモを取る様子を接写で撮影した。何度もテープを聞き返し練習した後で撮影したが、聞き取りメモの難しさを痛感した。
 ビデオを見た後の子どもたちのメモには、随所に工夫が見られるようになった。
(彦根市立城陽小)