本棚
私、用務員のおっちゃんです
貴重な本である。何が貴重かというと、教育や学校について書かれた本はたくさんあるが、用務員について書かれている本はほとんどないからである。 著者は、元京都新聞論説委員。退職後、京都教育大学附属京都小学校に臨時用務員として3年間勤務。その体験から、用務員の日常仕事や歴史を描いた本である。 例えば、こんなことはご存じだろうか。 京都市の公立小学校の用務員は明治以前の寺子屋の番さんから使丁、小使、作業員と名前が変わり、昭和42年、全国に先駆けて管理用務員制度が確立された。昭和50年に学校教育法施行規則49条で「学校用務員は学校の環境整備その他の用務に従事する」とはじめて認知された。(しかし、必ず置かなければならないとは規定されていない)また、明治の初期に開校した小学校には訓導1人、使丁1人で出発したところもある。小学校に校長を必ず置くと法律で定められたのは明治33年で、用務員は校長よりも歴史が古い。 教師であるから、用務員の日常仕事については知っている。しかし、用務員の視点で学校を見たことがあるだろうか。学校教育は教師だけで成り立っているのではない、ということがわかる本。(常諾真教) |