1 年 生 の 発 想 を 生 か し て
北 島 雅 晴
《その1》 掃除の時間 1年生の子どもは一所懸命働こうとする。ほうきの使い方を見ていると、何ともぎこちない。ゴミを見つけるとちりとりを持った子を呼び、ほうきで掃いて取ろうとする。教室の一カ所にゴミを集めてからというのではなく、見つけたらすぐに取り除こうとするのである。 一度従来からのやり方を教えようとしたが、あまりきれいにならない。それならば、子どもが自然に編み出したこの方法を使って掃除をさせることに決めた。すると案外きれいになるものである。無理に教え込んでも子どもの感覚にぴったりとこないと、うまくいかないものだと感じた。 《その2》 算数の時間 「1」についての学習をしていたときのこと。「一つしかないものは何ですか」と尋ねた。 ・地球です。 ・月です。 ・太陽です。 ・ぼくの命です。 ・一年五組です。 ・ぼくのお母さんです。 ・うちのかめたろうです。 ・ぼくの筆箱は一つです。 この後もどんどんと発言が続く。鼻、口、といったものが出てくるだろうと予想をしていたのだが、 全く当てが外れてしまった。私の発想よりもかなり新鮮さがあり、この子どもの発想を大切にしたい と思った。 《その3》 帰りの会の歌 一日を歌で始まり歌で終わる学校生活にしようと、毎日歌い続けている。帰りの会の歌は、「にんげんっていいな」である。 ある時、保護者から次のような手紙をいただいた。 「寝る前に、急に思い出したように『にんげんっていいな』の歌と振り付けを披露してくれました。(途中略)ついでに3番を作ったと言って歌ってくれました。 うさぎがみていたおにごっこ おいかけられてもまだ走る 夕やけこやけでまたあした またあした (途中略) 帰りのあるきによりみちも やってもいいけど 気をつけ帰ろ(以下略)」 みんなこの歌詞が気に入り、今は3番として帰りの会で歌うことにしている。 久しぶりに1年生を担任して、子どもの発想の豊かさに感心させられることも多い。子どもが自由に表現する中に、学習に生かすことのできる内容が多く含まれているように感じる。 「今日は、どんなつぶやきや表現が出てくるのだろうか。」 そのことを日々楽しみにしながら自分自身の発想も磨いていくようにしたい。 (草津市立草津第二小)
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