一 枚 の 写 真
吉 永 幸 司

 一枚の写真を見て思い付いたこと文章に書くという授業を4年生で試みた。写真雑誌やカタログから集めたものである。指導は次の手順で進めた。
 @語彙を広げる目的で言葉遊びをさせる。
 A写真をみて思い付くことを出し合い、学習の仕方を理解させる。
 B写真から思い付くことを短い言葉で集める。
 C集めた言葉を生かして写真にあった文を書く。

 学習活動@は「冬」から思い付くことを2分間自由に書かせた。15を越えれば良いと思っていたがその数に届く子は少なかった。「寒い・雪・冷たい」から抜けきれなかった。次に「さむい」を考えさせたところ更に言葉が出てこなかった。

 学習活動Aは学習活動@の実態を生かして、自由に考えることを大事にする指導をした。
 提示した写真は日吉大社のポスターである。紅葉が映える境内を撮影したものである。最初は「紅葉・きれい・赤・お宮さん・秋」という単語を並べる傾向があった。
T この写真から音が聞こえてきますか。
と問いかけた。
C 足音が聞こえる。
C 紅葉を見に来た人が話している声が聞こえる。
C バスの音。
と発言が続いた。子どもたちの見方が少し広がった。
T こんな絵はがきがあったら誰に送りますか。どんなことを伝えますか。
T 今あなたが、この鳥居の下にいます。何が見えますか。
T この写真を写した人はどんな人だろう。
 このように視点を変えて話し合いを進めた。子どもが自分なりの視点で写真を見ていく布石であった。

 学習活動Bは一枚の写真から思い浮かぶことを文に書かせた。写真はあらかじめ用意をしたもので一人一人違うものである。旅行会社のパンフレットからの観光地の写真。写真誌からの風景写真やペット雑誌からのものをB4版用紙に張り付けたものを渡した。最初は思い付く言葉を書かせ、その後その言葉を生かして文を書くという簡単なものである。
 学習活動Aでの学習を生かし、楽しんで文を書く子が多かった。
「目の前に大きなたきがあります。ゴーゴーと大きな音です。緑がとてもきれいで、すきとおっていてここにきてよかったです。(略)」(絵はがきにみたてて友達に送ると仮定して書いた文)
 一枚の写真が子どもの言葉を広げていった。
(大津市立仰木の里小)