本棚  中学生の教科書 死を想え
島田雅彦他 著 BK1
四谷ラウンド 1999.12. 1200円

中学生の教科書 死を想え
<はじめに>から

 「学校」とは何か。何のためにあるのか。また、なぜ「勉強」しなくてはいけないのか。……私たちはみんな、生まれてしまい、誰一人として例外なく死んでゆくという、人間のどうしようもないものを容赦なく抱えている。そしてそれと全く同じように「知りたい」という欲求ももってしまっている。……この、嫌でもあってしまう「知りたい」という欲求を満たすために「学校」はあるのだ。それだけなのだ。正確には、そのことの始まりとして「学校」はあるのだ。もっと広く、もっと深く知るために、中学校での、あるいは学校での若きひととき、そこにある知識や経験の蓄積を利用しなさい、ということなのだ。

 島田雅彦【国語・外国語】
 布施英利【美術】
 野崎昭弘【数学】
 宇野功芳【音楽】
 養老猛司【理科】
 宮城まり子【社会】
 池田晶子【道徳】

 7人の著者によって、教科ごとに、この「知的欲求」と「」をキーワードに「なぜ学ぶのか」が説明される。例えば、方程式を知らなくても生きていける。とすれば、受験目的以外に「なぜ数学を学ぶのか」を教師は子どもに明示しているだろうか。教えている教師自身にわかっているのだろうか。そんなことを考えさせられる。(常諾真教)