本棚    国語のできる子どもを育てる
工藤順一 著 BK1
講談社現代新書 1999.9. 660円

国語のできる子どもを育てる
 国語教師にとって気になる題名の本である。私たちも「国語のできる子ども」を育てている。めざしていることは同じなのだろうか。親向けに書かれている本であるが、効果的なノウハウがあれば知りたいものである。

 第1章は「書くこと」。4コマまんがを100〜150字程度の文で説明させる「コボちゃん作文」が紹介されている。1文ずつの書き方についても具体的で詳しい。これを100編くらい続ければ短文を書く力がつくという。
 長文に関しては「プロセス原稿用紙、アウトライン原稿用紙」が紹介されている。取材(着想)・構想・構成・記述が順を追ってできるように工夫されたものである。

 第2章は、「読むこと」で読書に考察と指針が示される。「教養主義的な読書を克服して、新しい世界を作っていくための読書」の具体的な方策である。

 第3章は、「読解力とは何か」。特に学童期においては、文章を読む能力と読解問題を解く能力とが一致しないことから、読解問題による能力測定について考察されている。私たちが市販テストを利用する場合にも考えなければならない問題を含んでいる。(常諾真教)