伝 え 合 う 力 を 高 め る 作 文 学 習
三 上 昌 男

 県国語部会第3ブロック研究大会が、近江八幡市立岡山小学校を会場に開催された。全小国研の全国大会に向けた1年次の本年度は、「伝え合う力を高める作文学習」を「書くこと」の研究テーマに設定した。また、次の2つのねらいを定めて研究に取り組んだ。
 (1) 相手や目的に応じて、書くことを工夫できる学習づくり
 (2) 書くことを通して伝え合う学習展開の工夫

 公開の実証授業では、「動物センターへ行ってきたことを手紙で伝えよう」(1年)の学習を展開していただいた。年間を通して、簡単な手紙の形を使いながら、自分の思いや知らせたいことを伝える学習経験を積み重ねる計画の一つの実践である。
 本時は、動物センターでの楽しい様子を語り合うことから始められた。そして、動物センターでの「保育園の時いっしょだった友だちに教えてあげたい」というA君の言葉を紹介され、「みんなも楽しかったことを誰かに教えてあげよう。きっと喜んでもらえるよ」と話され、手紙を書く学習へと導かれた。子どもたちの意欲を引き出す見事な導入であった。

 手紙を出す相手として子どもたちが考えたのは、転校していった友だち・幼稚園の先生・いとこの○○ちゃん・動物センターのおじさんなど、多様であった。相手を一人決めてから、「何が一番書きたいかな」と子どもたちに尋ねながら、伝えたいことを膨らませ、「○○さん、あのね」という書き出しを示された。また、3種類の手紙の用紙を準備され、子どもたちに選択させて手渡された。
 子どもの伝いたい思いを大事にする学習は、主体的な学びの姿を引き出し、書く意欲を高める。書きたいこと・伝えたいことをはっきり持った子どもたちは、勢いよく書き始めることができた。

 子どもたちが手紙を書き上げてから、何人かの手紙を紹介された。その文面には、相手を思い浮かべながら書いた子どもの心が感じられた。それは、書くことを自ら工夫する学びの姿と言える。
 授業は、「今度、手紙を出す準備をしましょうね」という先生の言葉で結ばれた。

 研究協議では、実証授業も含め、具体的な作文学習の実践例を提示して、部会の提案をおこなった。そして、参会者の感想や意見を伺いながら、これからの作文学習について語り合うことができた。
 伝え合いの学習は、書き手と読み手の双方向のコミュニケーションが成立して実現するものである。今後も、書くことを通して伝え合う学習展開の工夫に努めていきたい。
(近江八幡市立金田小)