夢 の 種 ま き 授 業
常 諾 真 教

 子どもが夢を持たなくなったと言われる。
 幼稚園の広報紙を見ると、Jリーグの選手になりたい、新幹線の運転士に、花屋さんに、ケーキ屋さんにと、それぞれに自分の将来を夢見ている。しかし、小学校の高学年になってくると、現実が見えてきて素朴な夢を語れなくなる。かといって、具体的に将来の職業選択ができるほどには現実の社会を知らない。よく言われる「しっかり勉強して、いい学校に入って、いい会社に就職して…」という生き方も、最近の社会情勢では説得力を持たない。

 今、子どもたちに必要なのは、「すごいなあ、私もそんなことができたらいいなあ」「そんな生き方があるのか」「おもしろそうな世界だなあ」と感じ、夢やあこがれを持つことではないだろうか。職業選択の参考にするためではなく、「生きることのすばらしさ」や「生きがい」を感じさせることが、「生きる力を育てる」ことにつながるであろうと思う。
 町内に在住・在勤のいろいろな分野の専門の方に授業をしていただき、子どもたちに夢やあこがれを感じさせたいと企画したのが「夢の種まき授業」である。

 第1回目は、50年にわって演劇をやってこられた福井谷敏生さんに6年1組で授業をしていただいた。6年生全員を集めると講演会になってしまうので、「教室で授業」というスタイルをとった。どの子もが身を乗り出すようにして真剣に話を聞いていた。

◆50年間もいっしょのことをずっとやっていたら、ぼくならあきてやめてしまう。だけど、福井谷先生はあきずに50年間つづけていたからすごい。
◆テレビに出ればお金ももらえるし、有名にもなれるけど、自分が劇をしてそれを見ている人が笑ったりするのがいっしょにできるのが劇の楽しさだと教えてくださいました。
◆演劇は、ドラマみたいにNGがなく、一発本番でやらなくてはいけないし、けいこも厳しい。お客の前で演技をするとき、もし失敗してもそのまま演技をしなければならないのはつらい。でも、それを乗り越えての喜びが大きいのだと思いました。
◆本(花さき山)を読んでくださったとき、おばあさんのしゃべっているところなどは、すごくじょうずでした。しゃべる人によって、少し声が変わっていてすごかったです。


 もらった夢の種を育てるのは子どもたちである。
 第2回目は、町長さんが授業をしてくださる。
(中主町立中主小)