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日本人はなぜ英語ができないか
英語を教える小学校が脚光を浴びている。多くの外国人講師を雇い、英語塾に通う子どもに補助金を出すという。しかし、日本語の読み書きすら十分にできない小学生に本当に必要なのだろうか。日本に暮らす限り、ほとんどの人間にとって英語ができなくても困らない。これは無駄遣いではないのか。母国語の教育にもっと金をかけ、もっと力を入れるべきではないのか、と思う。 中学校から大学まで英語を勉強しても、英語が使えるようにはならない。なぜできないのかについて本書に詳しく論じられている。 T章 外国語に憧れる日本人 U章 何を目的に外国語を学ぶか V章 英語の三変種 W章 外国語教育をどう改革するか X章 英語が身につく授業とは Y章 英会話の学習にひそむ問題 Z章 日本式英語の必要 [章 英語で日本文化の発信を 日本では、古来、先進の優れた文化や技術を取り入れるために外国語を学んできた。朝鮮半島、中国、江戸時代にはオランダ、そして明治になって英独仏である。目的がはっきりしているから、読むことが中心であり、すべての国民に必要なことでもなかった。 国際化の時代に必要な英語ができる人材を育てるために、著者は大胆な改革案を提示している。 ・英語教育の目的から、「英語を使う人の文化・歴史・社会を知ること」や「国際理解」を除くべき ・中学の英語は自己表現を中心に ・高等学校では日本事情の発信準備 ・大学での英語は日本物の英訳中心に 小学校で英語教育を始める前に一度読んでみるべき本である。(常諾真教) |