巻頭言
新 し さ は そ の 子 の 内 面 に あ る
山 門 徳 夫

 第27回国語合同研究会は、万端整えられたピアザ淡海で催された。「新しい国語学習の創造」の追求に実り多い2日間であった。
 今一度、発表の中から「新しさ」を学び直してみたい。
【研究発表A】(標題略以下同じ)  各自が読みの問題をみつけ、ひとり学習に没入し、共通の話題をつくりだしての話し合いを展開している。そして、まとめている。
 教師も心にとまる言葉を添えながら、共に読んでいる。教えたがっていない。気付かせることに心を注いでいる。
 自己学習力を身に付けた育ちの見える実践報告だった。

【研究発表B】 「やってみたい」「してみたい」意欲いっぱいの学習活動が紙面にあふれている。自分が決めた動物の赤ちゃんを自ら選んだ方法で紹介する。みんなのを合わせると「赤ちゃんランド」ができた。教材が生かされている。「話すこと・聞くこと」の学習が楽しさを倍加させている。ワークシートによる書くことが言葉の定着に不可欠なことを証明している。
 1学年は、国語の入門期としてその年間指導が重視される。教師の力量が示された報告だった。

【研究発表C】 子どもは、生来、好奇心の塊だ。長じるにつれて、知的好奇心がさらに増す。「自然を見つめて」の単元展開のなかで、それが充足されている。「調べ学習」で満喫されている。キョウリュウ絶滅の、調べ学習に集中した子どもたちは、自然の中で生きる動物にまで学習を広げていく。共に参考文献を探索する教師自身の単元づくりに感銘を受けた。

【研究発表D】 作品「白いぼうし」の良さを語り合う。ブックトークを学習の軸とした学習展開。
 スピーチの要領を示したり、目的や相手をはっきり意識させたり、アイデアいっぱい。1作品だけの読みに終わらず、読書指導を重視した実践だった。作品の優しさ、楽しさに開眼した子どもたちの読書力・態度の把握が、教師の今後の課題との自省の弁にうなずく。

【研究発表E】 筆者と読み手との内面対話の読み方で、全文を正確に理解させている。「心で読む」の解釈に言語感覚の良さが随所に見つかる。筆者、大島さんの伝えたいことを受け止め、応えようとする意欲が、後半の総合的な学習へ開花する。師弟共流、時に棹さす応変の指導が光っていた。

−今後−一層の子ども研究を積み重ね、国語基礎力の強化を願う。
(神戸女子大学講師)