説 明 的 文 章 の 学 習 改 善
三 上 昌 男

調べ学習を核とした単元づくりをめざして」という酒井先生(泉の会)の実践発表は、説明的文章の授業づくりについて考え直す機会となった。

 説明的文章との出会いは新鮮であっても、読んで一通り分かれば、子どもはそれで満足してしまうことが多い。教材に叙述されている限りでの知識・情報を形式的に整理する授業では、学習意欲は高まらず、子どもにとって「おもしろくない」国語の授業となってしまう。こうした授業を改善する取り組みが、いろいろ工夫されてきている。
 例えば、教材文の内容を新聞やパンフレットにまとめる学習である。読み取った知識・情報を表現活動につなぐ学習展開の工夫であり、新聞やパンフレットを作るために本文を丹念に読む学びの姿を引き出すことができる。新聞やパンフレットが仕上がることで、個々に成就感を味わうこともできる。
 また、発展学習として、教材文のテーマや内容について、関係する本を読んだり調べたりする学習がある。読んだり調べたりしたことを発表することもできる。あるいは、テーマを設けて話し合う学習を展開することもできる。一人ひとりの子どもが、主体的に取り組むことを期待できる。

 酒井先生の実践も、多様な学習活動による説明的文章の授業改善の必要性を提起されている。「人類はほろびるか」(6年光村上巻)を学習教材としながら、子どもたちが興味や疑問を持ったことを本で調べ、個々に調べたことを生かして教材文にかかわる学習課題について話し合う展開である。
 教材文の学習から調べ学習に移り、再度教材文の学習に戻るところが独特である。子どもたちは、調べ学習に意欲的に取り組み、調べて分かったことをもとにした本文の読解や自分なりの考えを自信を持って発言している。キョウリュウの絶滅・動物と環境との関係・人間と環境との関係という三つの課題について調べる学習が、どの子にも必要であったかは意見の分かれるところであろうが、調べ学習自体の楽しさが子どもの学習意欲を高めたことは確かである。こうした授業事実から学ぶべきことが多い。

 新学習指導要領では、「読むこと」の学習の改革が強調され、目的に応じて的確に読み取る能力や読書に親しむ態度の育成が重視されている。指導事項との関連を考慮しながらも、子どもの目的意識を大事にした学習活動の工夫を子どもと共に試みていきたいものである。
(近江八幡市立金田小)