講演 「 言 語 感 覚 を 養 う こ と 」
川 那 部 驕@徳

 言葉に対する直感力(美醜・正否)を高めるためにをサブタイトルとした山門徳夫先生(神戸女子大学)の講演は、文字通り、
「むずかしいことをやさしく
 やさしいことをおもく
 おもいことをおもしろく」
といった内容であった。

「言語感覚を養う」とは、 「一つ一つの言語活動の場面で、何を、どのように理解し、表現することが適切であるかを判断したり、言語表現を正確に評価し味わったりするために必要な言語に対する感覚を育成すること」を意味している。
 日本語が乱れていると多くの日本人が感じている現在、国語科において言語感覚をいかに養うかということが重要であると山門先生は主張された。
 そこで、言語感覚を養うための今後の課題、実践へのアイデアとして、具体的に、十点ばかり挙げられた。それらの内、特に印象に残ったのが、次のような内容であった。

○直接体験の学習を重視する。
○「単語に敏感になろう」
 ・「語彙指導」が不可欠。
○「話すこと」「聞くこと」の学習を取り立てて実践する。
 ・「言語事項」の系統的指導が不可欠。
 ・「スピーチ」及びこれにかかわる内容(メモなど)の指導内容と時間確保。
 ・ジョーク・ユーモアの「たね」あつめ。
 ・「敬語」の指導の必要。
○読解指導から読書指導への連続、連関学習の充実
 ・「ブック・トーク」の奨励。
 ・「目的・意図に応じた読み方指導」
○文学づくのはよそう。
○説明的文章になじませよう。
 ・まず、読み馴れること。文章全体をつかみとる技を身に付ける。
 ・4行(4段落)意見文を書く。
○「総合学習の時間」と「国語科」
 ・それぞれの学習の「ねらい」をそこねるな。
 ・時間を無駄にするな。
 ・「ことば」なき学習はない。言語感覚はすべての学習・生活の根っことなり、学習への引き金となる。言語への関心・追求意欲の喚起、自己教育のエネルギーとなる。

 そして最後に、「実力以上の教育実践は、決して実現しない」という今井鑑三先生の言を引用しながら次のように締めくくられた。 「教師の『言語感覚』が国語指導のすべてを律する
(栗東町立大宝小)