蛍  籠 ( 4 年 )
好 光 幹 雄

 芭蕉は湖国大津にて、幾つもの句を詠んでいる。
  <古池や蛙とび込む水の音>
もそのひとつ。大津の南方、岩間寺で詠んだものである。ところで、その岩間寺のある岩間山から流れ出る千丈川は、蛍の名所でもある。過日子ども連れで見に行った蛍の光はまさしく幻想的であった。
 私のそんな話をきっかけに、子どもたちも蛍を見た体験を思い出したり話し合ったりした。6月の句作りには、紫陽花、蛍等々、瑞々しいものがあってうれしい。

 7月は何と言っても七夕が話題。ある子が詳しく七夕の由来を説明してくれた。夢のある話には、どの子も目が生き生きとする。
 また語彙を豊かにするために言葉の紹介もする。例えば、紫陽花は七変化(しちへんげ)、額の花、毬の花、刺繍花。螢を入れる籠は螢籠。七夕は星祭。天の川は銀河・ミルキーウェイ。願い事を書いた短冊を結ぶ糸は、願い糸とも言う等々。
 さて、子どもらしい夢のある願いが書けただろうか。

 暑い夏アイスを食べて次ゲーム    圭介
 父の日はけんかをしても仲直り    百香
 紫陽花をずっとみつめて夕方だ    秀基
 雨の日に窓から見えるよ紫陽花が   悠子
 父の日だ今年はネクタイ買ってきた  裕乃
 おばあちゃんおみやげ買うよ風鈴を  美耶
 蛍かごきらきらきらと光ってる    愛里
 蛍だけずるいぞおしり光ってる    織姫
 梅雨明けてでんでん虫はかくれんぼ  博喜
 心太(ところてん)さわるとプニプニおどってる    大樹
 天の川夜空に高くうつってる     来希
 天の川二人がこいしたその日です   達也
 天の川はなれていても赤い糸     由樹
 天の川一人で見てもつまらない    万次郎
 天の川いつかだれかと二人きり    真穂


 七夕の日の宿題は、天の川を見ることにしたが、街中ではやはり明かりが多くて無理。ところが、「天の川をはじめて見たよ。本当にきれいだったよ」 と、わざわざ家族で山まで行って見てきたことを報告する子もいた。
 今、4年5組では、自分の五感を通して確かめる子が、そして毎月の句会を楽しみにしている子が増えてきている。
 少年の夢湧き上がる雲の峰
(大津市立堅田小)