本棚    学校ビオトープ事例集 人・自然とつながる校庭づくり
阪神・都市ビオトープフォーラム編著 BK1
トンボ出版 1999.3 1200円

学校ビオトープ事例集
 最近ビオトープという言葉を目にすることが多くなった。7月29日の朝日新聞に、横浜市の小学校の「トンボ池」「カエル池」が紹介されていた。ビオトープとは、ビオ(生き物)とトポス(場所)を合わせた言葉で「生き物の生活する自然環境」を意味する。

 この本には、阪神地区にある25の学校ビオトープが紹介され、作り方などの技術的な解説もある。
 自然の少ない都市部には必要だろうが、田舎にまでは……と思われがちだが、本当にそうだろうか。私の勤務校の周辺は田んぼで、確かに緑は多いが、豊かな自然があるとは言えない。川はコンクリートで固められた排水溝になっている。池があってもきれいな公園化されている。メダカもヤゴも見つからない。子ども達が自然の生き物に触れることも少ない。ビオトープがあれば子どもが集まってくるだろう。

 『学校に自然を再現しよう』(学研)には、ビルの屋上のビオトープや、衣装ケースを使ったミニ・ビオトープの作り方が紹介されている。
 美しい花壇や錦鯉の泳ぐ池ではなく、子どもが直接に関わることのできる小さな「自然」こそが必要ではないのだろうか。(常諾真教)