▼新学習指導要領では「総合的な学習の時間」の内容として、(1)国際理解、情報、環境、福祉、健康などの横断的・総合的な課題、(2)児童(生徒)の興味・関心に基づく課題、(3)地域や学校の特色に応じた課題などと例示している。この中で、(1)は現代的課題で、子どもが積極的に挑戦すべき内容であると言われている。従来学校は共通の知識と態度を身に付けることを目的としてきたと考えれば、知識は「教科」であり、「道徳や特別活動」は態度である。

▼加藤幸次氏(上智大)は「教育ジャーナル」(学研)で、「現代的課題」を取り扱う総合的な学習は「目的」を持ったもう一つの教科であると主張している。その考えをさらに分かりやすくするために、従来の教育が「魚の名前を教える」教育であったのに対して、自己学習力の育成を目指す近年の教育は「魚のとり方を教える」教育であり、今回の教育のあり方は「とれる魚は汚染されているかもしれないことを教える」教育と言えるかもしれないと述べている。分かりやすい論である。

▼教科と総合の違いに悩む前に、教科はどこまでも基礎となる学力、総合は実践・体験と割り切ってみるのは単純すぎるだろうか。 (吉永幸司)