「伝え合う力」を高める授業
三 上 昌 男

 1学期が終了した。ふり返ってみると、1年から6年まで15の学級に入り、授業を行ったことになる。TTによる3年・5年の算数を中心に、他の学年では、コンピュータの利用学習を担任と協同で実施した。また、いくつかの学級で、国語の授業をする機会もあった。「伝え合う力」を高めることを意図した授業を構想して臨んだ。

 3年生の学級では、書くことを通して自分のことを紹介する新聞作りに取り組んだ。「学級のみんなに、自分のことで知らせたいことを新聞で伝える」という相手・目的意識を持っての学習である。
 3年生の子どもたちが、新聞のイメージを持てるように、紙面構成のアウトラインを提示した。 そして、主に次のことを書くことにした。
 (1) 自分のことで、みんなに知ってほしいこと・伝えたいことをいくつか選択し、それぞれについて簡単に表現する。
 (2) 特に伝えたいことを一つ選んで、くわしく書き表す。
 子どもたちが紹介したことは、「好きな○○」「宝物」「大きくなったら」「名前の由来」「得意なこと」など、多様である。自分の似顔絵も描いて、きれいに仕上げることができた。

 でき上がった新聞は、書くことを通して「伝え合う力」を高めるという視点から、グループで新聞を読み合い、「友だちへのひとことカード」を交換する活動を展開した。
 *けい子ちゃんが先生になったら、とってもやさしい先生で、すかれると思います。がんばってね。
 *とてもいい名前ですね。ぼくも、自分の名前について、家の人に聞いてみようと思います。

 カードに書かれている子どもの言葉はとてもやさしく、相手への思いやりの気持ちが表れていた。

 4年生の学級では、話すこと・聞くことの指導として、自分の考えを伝え合う討論会を行った。「夏休みに家族で出かけるのなら、海がいいか、山がいいか」という対立的なテーマで、どちらかの立場を選び、海や山のよさについて語り合った。
 理由を付けて自分の立場を主張する子どもたちの表情は、真剣そのもので、発言することに意欲的であった。また、双方の立場の考えを聞きながら、さらに値打ちのある考えを生み出そうとする姿勢が感じられた。
「私は海の方がいいと思っていたけど、山のよさをいっぱい聞いて、山にも行ってみたくなりました。」
討論会を終えた子どもの素直な感想である。
(近江八幡市立金田小)