伝 え 合 う 力 を 育 て る
池 嵜 繁 伸

 わたしたちの学校では、コミュニケーション能力(伝え合う力)の育成をめざし、授業研究部と実践研究部に分かれ、取り組みを行っている。
 「聞く力」「応じる力」「話す力」の三つの観点からコミュニケーション能力をとらえ、どのような学習形態や学習活動が効果的であるのかを模索している。

 国語科の学習の中では、コミュニケーションの基礎である対話を重視した授業。視覚的な資料を効果的に使用させ、より聞き手を意識させる授業。同一作者の複数の作品をとりあげ、小グループでの交流を活性化させる授業。様々な角度から授業研究を行ってきた。
 また、国語科以外でも、朝の「さわやかトーク」の時間では、親しみやすい詩や早口言葉を用い発音・発声の練習やスピーチ活動などに子どもたちの実態に合わせ取り組んでいる。
 月一回土曜日の朝に行う「さわやか集会(全校)」では、委員会からのお知らせ、クラブや各学年からの発表などが、コミュニケーション能力の育成を意識した活動として実施される。実践研究部では発表している子どもや聞いている子どもたちの様子を記録し、その後の集会の計画や活動に役立てるようにしている。  発表する子どもたちへの事前の指導では、書いてあるものを読み上げるのではなく(メモを見ず)、聞き手の方を見ながら発表できるように指導している。メモを見ずに発表するようにしてから、聞き手の側の子どもたちが、話し手の方を向いて集中して話が聞けるようになってきた。

 低・中・高の各学年部でも集会活動を行い、表現や交流の機会としている。
 先日の高学年部集会では「自然体験学習の報告会」を行った。若狭湾少年自然の家で、海と山を舞台に、6年生の子どもたち一人ひとりが心に残る貴重な体験をすることができた。その感動を、来年若狭へ行く5年生に伝え、期待と活動の見通しを持ってもらおうというものである。6年生の子どもたちは、各班や各選択活動のグループに分かれ、5年生を意識した発表の仕方や役割分担について話し合った。そして、次のような表現方法が出された。自分たちが撮った写真をOHCで紹介する。絵や図を見せながら説明する。実物を見せる。実演し、参加してもらう。簡単な模型を作って説明する。
 報告会当日、5年生をひきつける発表ができたが、インタビューや質問のやりとりの場面での深まりが見られなかった。相手が答えやすく話をどんどん引き出すようなインタビューや質問の仕方を国語科で身につけさせていく必要があると考える。

 総合的な学習との関連も重視し、伝え合う力をつける学習について研究を深めていきたい。
(彦根市立城陽小)