デ ィ ベ ー ト を 体 験 し て み よ う
伊 庭 郁 夫

 ディベートと言われても、子ども達にとっては、聞きなれないものである。しかし、「賛成と反対のように分かれて、お互いに意見を戦わせるのだよ」と言葉を添えると「それならやったことがある」という反応が返ってきた。
 例えば、4年生では「食べ物を泥棒した。死刑にするか、しないか」。3年生では「水道がつまっている。ごみをとるか、とらないか」などだそうである。驚いたことには、2年生でもやったことがあるという。論題は「テレビゲームはよいか、悪いか」だそうだ。何年も前のことが、子どもの記憶の中に残っているのは意外である。それだけ、ディベートが新鮮であり、印象的であったのだろう。

 さて、話す・聞く力をつける一つの方法としてディベートを始めようと考えた。子どもの興味・関心を大切にするために、二つのポイントを示す。ひとつは、論題を投げかけると同時に、子どもにも論題を考えさせること。もう一つは、図書館やアンケートを利用することである。  教師の方で「春休みより、夏休みがよい」「テレビはよい」「給食はパンよりご飯がよい」の賛否について提示した。子どもの方からは、「自然を守るより開発を進めた方がよい」についてディベートをしてみたいという意見が出されたので、論題の一つに取り入れることにした。

 次の例は、「テレビは、よいかよくないか」についてディベートをした一部である。
T これから「テレビはよいか。よくないか」についてディベートを始めます。まず、テレビはよいという側、立論を2分でお願いします。
C 第1に、ニュースや天気予報が見られる。第2に、見ていると楽しくなる。(中略)第8に、新聞ではわかりにくいところがあるが、テレビは分かりやすい。(第13まで立論を述べる。)
 《続いて、反対側立論・略》
T では、反対側から質問・反論をお願いします。
C はい、第8の新聞ではわかりにくいところがあるが、テレビはわかりやすいというのは、テレビは一度聞いたら何度も言わないけれど、新聞なら見逃すこともないし分かりやすいと思います。どうですか。
C はい、ビデオでとっておけばいいと思います。(以下略)

 ディベート後の感想は、「緊張したけど、楽しかった」「また、ディベートをしてみたい」というものが多かった。子ども達の様子を見ながら、工夫していきたい。
(安曇川町立安曇小)