本棚    「超」整理法3 とりあえず捨てる技術
野口悠紀雄 著 BK1
中公新書 1999.6. 660円
教師のためのからだとことば考

 「知的生産の技術」以来、このジャンルの本はつい買ってしまう。本を読んだからといってすぐにその通りにするわけでもなく、ましてや「知的生産」ができるわけでもないのだが。
 類書が、「いかに情報を蓄積し整理するか」を述べているのに対して、本書では「いかに捨てるか」に焦点が当てられている。捨てるのは簡単だ(と思われている)。しかし、思い切って捨ててしまって後悔することがある。役に立つかも知れないと思って残すと、すぐに資料が溜まる。そんな繰り返しを確かにしている。

 本書では、「定型的な仕事」と「非定型的な仕事」を区別し、後者において、とりあえず捨てるための方法が「バッファー」(緩衝器)という概念を用いて論じられている。
 ウィンドウズのデスクトップにある「ごみ箱」と同じで、目の前からは消えるが、必要に応じて取り戻せるシステムを作るのである。とりあえず捨てるのだから、机の上はすっきりする。取り戻せるから、捨てるときの心理的ハードルも低い。つまり「保存ごみ」を作るというのである。
 さて、私の机上もすっきりするだろうか? (常諾真教)