本棚    秘伝 中学入試国語読解法
石原千秋 著 BK1
新潮選書 1999.3. 1500円
秘伝 中学入試国語読解法

 第1部は、日本近代文学の研究者による中学入試の体験記。塾選びから志望校の選択、受験勉強など、自分の子どもの「お受験」に関わってかなり詳細に述べられている。ドキュメントとしてなかなか面白いが、地方ではあまり縁がない。
 第2部は、入試国語問題読解法。「『国語』に隠されている見えないルールを炙り出すという読解法は、入試国語に強くなるだけでなく、『学校』空間というものについて考える契機となるだろう」という宣伝文句に惹かれて読んでみた。実際の問題を掲げ、解き方答え方が具体的に示されている。その方法は高校入試の国語にも十分応用できそうである。

 「いま『国語』がやっていることは『道徳教育』である」という指摘には頷くことも多い。例えば、
<国語では「作者の言いたいこと」や登場人物の「気持ち」ばかりが問われる。子供たちは「思ったこと」を答えなさいと言われるが、本当に「思ったこと」を答えたら○をもらえないことを知っている。ルールを説明されないで、ゲームに参加しているようなものである。>
<作文を書かせてもそのコメントは内容に関することのみ。文章は全く無視されている。だから、文章が書けない。国語で道徳教育しかしないのは欠陥である。>等々。(常諾真教)