大 空 の 下 で 詩 を 読 も う
伊 庭 郁 夫

 今まで、国語の授業というと教室、図書室、パソコン教室などで行ってきた。しかし、外で授業をするというのは、ほとんどない。詩や俳句を作るときに、外へ取材に行ったことが思い浮かぶくらいである。
 今回は、詩の群読を外で行うことにした。理由は、三点である。
 第一は、大きな声を出しても隣の教室の迷惑にならない。
 第二は、詩の題材が『あめ』『どいてんか』で共に、戸外の方が臨場感が出そうなこと。
 第三は、外で授業することそのものが、新鮮であること。大人になって、小学校時代を振り返ったとき、内容は忘れてしまうかも知れないが、外で詩を読んだことは記憶に残ることだろう。

 いきなり外に出るのでなく、班での読み声がかなり出るようになった段階で次のように働きかけた。
「外で詩を読んでみようか。」
「えっ。」
「外だと遠慮しなくていいよ。」
「やったー。よし、行こう。」
 教科書片手に、運動場を横切る。

 まず、各班でおもいおもいの場所を見つけ、群読の練習をする。次に、各班で詩の発表を行い、お互いによい点を評価する。
「ねらってたたくのところが強く読めていたので感じが出ていた。」
「ほとんどの人が本を見ずに読んでいた。それなのに、息がぴったりあっていてすごいと思った。」
「前より声が随分大きくなってきた。降り方も、他の班と違った感じがしてよかった。」
など、練習の成果を認めあう。

 また、『どいてんか』の詩の練習中、3班から質問を受けた。
「先生、テープみたいにバックでどいてんか、どいてんかと言ってそれに詩を重ねていいですか。」
「いいけど、難しいよ。」
と投げかけた。しかし、あっと言う間に4人で役割分担をし、見事に群読を成功させた。

 思いがけない発見もあった。
『あめ』の詩の中に「さびがざりざりはげてるやねを」という箇所がある。たまたま、近くの体育用具庫のトタン屋根がさびているのを見つけた。
「あのような、トタン屋根の下で雨の音を聞いたことのある人。」
と問いかけると次々と手が挙がった。
「トタン屋根の下は、すごい音がした。」
「大きな音で、耳を押さえないといけないくらいだった。」
など、実感がこもっていた。
 録音も外でした。教室と違って声が反射しないため、実力が出ると感じた。
(安曇川町立安曇小)