新 し さ へ の 挑 戦
吉 永 幸 司

 子どもが輝く。屈託のない笑顔。「あまりよい思い出は無かったけど、一番よい思い出ができた。」テレビ「ようこそ先輩」の子ども達の表情がまぶしい。その道を極めた人のプロ根性に真正面に子どもは取り組む。心を捉えたのは新しさへの挑戦と受けとめた。
 では、教師の挑戦はとは何か。手早く出来る事から考えれば、先ず、常識を見直すこと、そして自分を変えることから。

【その1】 新しい学年が決まった。
 持ち上がりの子ども。教室には、ピカピカの紙に名前が書かれ貼り出されていた。
「子どもも私も新しい気分で迎えられたいいから」とは担任の弁。この先生に教えてもらえるこの幸せを感じた。
 こんな場合もある。クラス替えなしで担任だけが変わる場合。
 一週間もすると必ず不満が出てくる。前担任の個性が表れてくるから。その不満の矛先を自分に向けたらどうなるか。「一年で子どもって教師の癖から、考え方まで似てくる」と。その気づきが新しさと捉えることが大事であろう。

【その2】 「輝く」という言葉が詩の中に出てきた。授業は言葉の意味を広げることから始まった。「星・ダイヤモンド・ガラス・ビー玉」から始まって、「心・人・友達」と広がっていった。満足そうに発言を聞いていた指導者。「みんなずごいね」と助言。
 教師が「すごい」と感じるより子どもが「すごい」と感じることが本物だと、参観をしていた青年教師がつぶやいていた。
 授業を子どもの目の高さでみることは難しいことではない。見方を変えることだろう。

【その3】 クラス替えのあった5年生の授業。音読で始まった。全員で読んだ。が、声が揃わない。「声を揃えて読みましょう」と繰り返した。が、声は揃わなかった。当然と捉えた。クラス替えで3学級が渾然と入り交じっている。音読といっても、速さが違う。精読の経験が違う。
 「今まで読んできた方法の中で、一番上手な方法で読んでごらん」とそれぞれの学びを公開させたら、互いの良さが学び合える。こんな小さな知恵が授業を変える。
 子ども達には学びの歴史がある。時にはそれを崩し、時には活用する自在さが、4月の教室であろう。が、その知恵を語り合う場はあまりない。

 時代は確実に動いている。学校がめざすもの自体再検討する時期がきていることを認識すべきであろう。
(大津市立仰木の里小)