▼最近出会ったちょっといい話。始発までまだかなりの時間があるJRの駅前。10人近くの人が掃除をしておられる。この駅は、いつも夜遅くまで青少年が群がって遊んでごみが散乱するのが普通。なのに、今まできれいにされているのに気づかず通り過ぎていた。必要があって、始発電車に乗ろうとして偶然見かけた光景。「お近くの方ですか。」と尋ねたところ、互いに何も約束していないけど集まっているとのこと。いつもごみがないことに不思議さを持たなかったことが恥ずかしかった。

▼同じようなことで。寒風の中、琵琶湖畔で魚釣りの糸を取っておられた方を見かけた。石垣の狭間に手を突っ込んで丹念に。「ボランテアの方ですか。」と尋ねたら、「いいえ。市から頼まれてやっているのです。」との返事。何人かで、公園を任されておられるという。魚釣りの糸が鳩の足にまつわったりして大変。それ以上に「この琵琶湖の水は、京阪神の方に飲んでもらっているもの。高いお金を払っておられる、京阪神の方が来られたとき、水をきれいにしてもらっていると思ってもらえたらうれしい。」といって黙々と作業を続けられた。

▼漠然と見ていては気づかないが、少し気をつけると心に残る人との出会いは多い。総合学習が話題になっている昨今、私達の感性を磨き、ちょっといい話にふれる機会でもあろう。新学年が始まる。(吉永幸司)