伝え合う国語教室 「はい、〇〇です」
中 嶋 芳 弘
稲枝東小学校から、市内の旭森小学校に転任した。住宅開発の進展と共に、田畑が宅地に変わり、たくさんの人が移り住んできている校区を抱えている。児童数が多い分だけ、今日的な課題を抱えた子の人数も多い。 この学校で生徒指導主任、教務部の仕事というわけで、全校全クラスが私の教室である。そんな私の「教室開き」の一こまである。 〇年〇組の〇〇の時間が始まる。チャイムが鳴った。席を離れ動き回っている子。後ろを向いておしゃべりしている子。学習の準備をして教科書をめくっている子。教室の入り口に立ち止まつてしばらく待つ。何人かの子の目が私の目と合う。「みんなが席について、学習の用意ができたら教室に入ります」言葉には出さずにこっとする。そのうち、 「先生、来やったで。自分の席にもどりいな。」 「話、やめよ。」 声が掛けられ、教室が静かになる。 そこで、教室に一歩はいる。 「すてきなクラスですね。では、一学期初めての〇〇の学習を始めましょう。」 あいさつが終わり、私の一言。 「先生は、このクラスに週に〇時間しか来ません。その少ない時間をみんなと しっかり楽しく学習したいと思います。だから、さっきのようにチャイムが鳴っ たら用意をして静かに先生を待てるクラスが素晴らしいと思います。」 はじめに学習の準備について話をして、忘れ物点検。これは、少しでもはやく名前を覚えるためでもある。 「〇〇さん。」「はい、元気です。」 健康観察と勘違いしている。クラスの仲間から注意の声。 「□□さん。」「はい。教科書。」 「教科書をどうしたの。」 「忘れました。」 「はい、わかりました。……みんなが買い物に行くでしょ。その時、お釣りがあるとしますね。店員さんがどんなふうに言ってくれるとうれしいでしょう。」 「はい。」あちこちに手が挙がる。 「はい、☆☆くん。」 「ありがとうございました。お釣り△△円になります。お確かめくださいといわれると、いい店で買ったって気になります。」 「いい意見ですね。みんなはどうかな。」と、拍手を送って、 「では、点検を続けます。◇◇さん。」 「はい。全部持ってきました。」 教室に拍手が広がった。よい発言、よい発表の仕方を認め合える。気持ちの伝え合える教室を作りたいと思う。 (彦根市立旭森小)
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