▼真実の言葉は心にしみ込んでいく。「私は、みなさんと同じように小学生の頃は、走ったり跳んだりしていました。でも、20才の時、バイクで転び一瞬にして、体の自由がなくなったのです。」車椅子の芝崎さん。「泣いて下半身が動くようになるなら1か月でも泣きます。でも、泣いても何も生まれないのです。」下半身麻痺の体であってもテニス、バスケット、スキーに挑戦している姿に子ども達は食い入るように聞き入る。福祉教育の一環として介助犬の話をお願いした柴崎さん。「良い友達がいたから」と強調された。

▼「昭和51年4月6日。満開の桜に、やわらかい陽射し。やさしい1日だった。オギャーオギャー。火が付いたかのような泣き声とともに、ひとりの赤ん坊が生まれた。元気な男の子。平凡な夫婦の、平凡な出産。ただひとつ、その男の子に手と足がないということ以外は・・・」(「五体不満足」乙武洋匡・講談社)の書き出しで始まる1冊の本。「ボクは毎日が楽しいよ」と明るいメッセージを発信する。

▼車いすマラソン大会に参加した右田さん夫婦を紹介したルポ(MOKU12月・MOKU出版)は、「いまここにある身体を認めたんです。自分を認めた時から第二の人生が始まったと思っています。いつかよくなるだろうとそれにしがみつていたら前には進めない」という言葉を紹介している。

▼真実の言葉、生きる力である。 (吉永幸司)