「 音 読 バ ト ル 」 を し よ う
中 嶋 芳 弘

 ポケットに「国語教室」を忍ばせて、出張や急な用事で休まれた担任のクラスに向かう。今回紹介するのは「音読バトル」である。
 「ドーンじゃんけんぽん」というゲームがある。まず、適当に引かれたラインの両端それぞれにチームが陣取る。そして、「よーいドン」。両チームの1人目がラインの上を走っていく。ぶつかったところで「ドーンじゃんけんぽん」とじゃんけんで勝敗を決する。勝った方はそのまま進み、負けた方はラインから降りて自陣に帰り後ろに並ぶ。同時に代わりの者がスタートし、ぶつかったところでまた「ドーンじゃんけんぽん」という具合に続いていくあのゲームをヒントに考えた。

 簡単にゲームの説明をしてから、クラスを赤組、白組、審判員と三つの集団に分ける。(人数はどうでもいいのである。均等に分かれるクラスもある。赤、白数人ずつ、審査員多数というクラスもある。)赤組、白組は教室の両端に分かれて、それぞれ一列に並ぶ。審査員は自分の席に座って待機する。「音読バトル」の準備完了である。

 いよいよ開始。先攻チームの1人目が一文を音読する。後攻チームが同じ一文を音読する。これを審査員が判定する。審査員長は私。審査員の挙手や発言をまとめて勝敗を決する。
 勝ちチームはそのまま、負けチームは次の読み手に交代して、次の一文を音読する。
 審査員席にいる者は、読みたくなったらどちらかのチームの最後尾につく。バトルに負けた者は、自チームの最後尾につくか、審査員席に戻る。

 こうして「音読バトル」を進めていくのであるが、進めるに従って、入ったクラスの実態やこちらがねらいとしていることに応じて審査基準がはっきりとしてくる。
 ・間違わずに読めたか。
 ・声の大きさはよいか。
 ・読むときの速さはよいか。
 ・気持ちを込めて読めているか。
 ・読むときの姿勢はどうか。
という具合に。そして、どの子も教科書から目を離さず文章を追うようになる。ゲームの進め方のわからないうちは審査員席にいた者も、どんどんどちらかのチームに加わり始める。それぞれのチームの人数もほぼ均等になっていく。

 1年生から6年生まで、全学年でこの「音読バトル」をする機会をもった。「もう少し続けよう」「今度の時間もしよう」そんな声を聞いた。特に低中学年で人気が高かったように思う。
 「楽しみながら音読をみがく」、このネタを子どもたちと楽しんでください。
(彦根市立稲枝東小)