物 語 の 結 末 を 話 し 合 う
三 上 昌 男

 「ごんぎつね」(光村4年下)の学習は、人物の心の動きを捉えることをねらいに、ごんの日記を書き、その交流を大事に読み進めていった。個々に着目する表現箇所の違いから、ごんの日記も多様である。
「ごんになったつもりで日記を書くのは楽しい。」
「ごんの気持ちが、だんだんよくわかってきた。」
と話しながら、意欲を見せる子どもたち。物語の結末を意識してか、
「先生、最後の場面は、ごんの日記が書けないよ。どうしよう。」
と語りかけてきた。ごんの心のつぶやきなら書けるだろうと話すと、納得した様子であった。

 子どもたちが個別に考えた、ごんの心のつぶやきを整理してみた。そして、読みの傾向をふまえ、 「ぐったり目をつぶったままうなずいたごんは、『悲しいよ』『ごめんね』『うれしいよ』の三つの気持ちで、どれが一番強かったと思いますか。」
と、発問した。それから、自分の立場を一つ選ばせ、自分の読みをはっきり持った上で、話し合い学習を展開した。
 まず、立場が同じ者同士でグループを作り、個々の読みと根拠を交流した。次に、全体で三つの異なる立場の読みを聞き合った。そして、話し合い学習を振り返って自分の考えや学んだことを書いてまとめることにした。

私は、『ごめんね』の気持ちが一番強かったと思います。
 ごんは、兵十がおっかあに食べさせるうなぎを取ったことをあやまりたかったと思います。そのためにつぐないをしていたのだから、うたれてもしょうがないと思っていたと思います。
 グループで話し合って、いろんな『ごめんね』があるのだなと思いました。Aさんの、「今日からくりや松たけをあげられなくてごめんね」という考えが心に残りました。
 みんなで話し合った中では、『うれしい』の気持ちで、「ごんがくりや松たけを持って行っていたことを、やっと兵十が気づいてくれてうれしい」というN君の発言を聞いて、なるほどなあと思いました。
物語の状況をみんなで確かめてはきたが、ごんの日記を書きためる中で、子ども一人ひとりの読みが個性的に積み上げられてきたと思われる。最後の場面を取り上げての話し合いは、自分の読みの立場を自覚すると共に、友達の多様な読みを認め合う学びの場となった。
(近江八幡市立金田小)