続 け る こ と で 培 わ れ る も の
伏 木 清 史

 本校では、毎年、新春(1月中旬)の学校行事として、「校内カルタ会」が行なわれる。伝統的な行事で、教師の意気込みは高い。12月の声を聞く頃になると、忙しい日々の日程をやりくりして、校内のあちこちから札の読み声が聞こえ出す。テープの場合もあるが、ほとんど、教師が読んでいる。
 子どもたちも、カルタが大好きで、例えば、運動クラブが雨天のため活動できない時など、「先生、百人一首しよう」という声が必ず起こる。また、休み時間など、わずかな時間でも札を並べる子どもたちも多い。途中でチャイムが鳴り、そのままの状態を残したまま、次の学習が始まっていたりする。

 もちろん、冬休みには「百人一首を覚える」という課題が出される。一覧表を配る先生も多い。かくいう私も、カルタ会の読み手という大役を担っている関係上大いに関心を持っている。どこかの教室で練習が始まるとおじゃまして、読ませてもらったり、一緒に取らせてもらったりする。時には、こっそり、「取るコツ教えてあげようか」などと声をかけることもあるが、「知ってる。『むすめふさほせ』でしょ。『む』は『むらさめの』『す』は『すみのえの』……」という答が返ってきて、がっかりするとともに驚くこともある。
 さて、カルタ会本番、3年生以上の子ども400人が体育館に集合する。学級での予選によりそれぞれのレベルにあったグループに座り、乱取りで対戦する。凛とした空気の中でのカルタ会、とてもすがすがしいものがある。

 校内カルタ会とほほ同時期に、能登川町でもカルタ会が行なわれる。本校の子どもたちも多数参加する。こちらは、乱取りではなく「源平合戦」での対戦である。
 申し込みの時、今年初めて参加する3年生が、「先生、町のカルタ会は小倉ですか、近江ですか」と聞いた時には驚いた。私など、小倉百人一首しか知らないのに。
 町カルタ会には私も引率者として参加した。源平合戦は、乱取りにない緊張感が漂う。小学生の部の決勝戦は、予想通り本校同士の対戦になった。しかも、6年生対3年生(「小倉ですか」の子)。結果は僅差ではあったが、6年生が、面目を果たした。

 子どもたちの興味関心を高めるにも力を高めるにも、「続ける」ということは重要である。たかがカルタかもしれないが、長年続けてきた成果は、確実に子どもたちに表れている、と信じている。
(能登川町立能登川南小)