ぷ ん ぷ ん が ま く ん
岡 嶋 大 輔

 お手紙をもらったことがなくて悲しそうながまくん。そんながまくんを喜ばせてあげようとこっそりお手紙を書いてあげるかえるくん。そんな二人の心の触れあいを描いた物語「お手紙」(光村二年上)。
 かえるくんも、がまくんも、とても表情豊かに描かれ、二人の性格の違いが手にとるように分かる。そして、その時々によって二人は感情豊かに振る舞う。
 子どもたちには、「どんな気持ちでしょう」というよりは、「どんなかえるくんやがまくんが見えてくるでしょう」というように投げかけたいと思った。よく似ているが、どことなく後者の投げかけの方が、二人の性格や人格にせまるニュアンスを持っていると感じたから。

「きみ、おきてさ、お手紙が来るのを、もうちょっとまっていたらいいと思うな。」
と言うかえるくんにがまくんは、
「いやだよ。」
と言って二人のやりとりが続く。この場面のがまくんを『〇〇がまくん』と表すようにした。
 予想は、
 ・しょんぼりがまくん
 ・あきらめがまくん
 ・いじけた(いじいじ)がまくん
 ・かなしいがまくん
 ・つかれたがまくん
などと考えたが、他に、
 ・ためいきがまくん
 ・ぼんやりがまくん
など、いろいろといいものが出てきた。そんな中、A男が、
「『ばからしいこと、言うなよ。』は、ちょっとおこってる感じがするからぷんぷんがまくん。」
と言った。
 なるほど、そう言われてみればふてくされてちょっと怒った感じのがまくんでもおかしくはない。すると、音読の仕方もずいぶん変わってくる。
「ぼくも、いじけたとき、おこったような言い方をする。」
とほかの子どもが言う。いじけたときの言い方は一つではないのに、私は、どこか一つだと決めていた。挿絵では、確かに怒っているようながまくんではないが、そういう言い方は十分あり得るのだ。
「先生も、ぷんぷんしたような言い方があるなんて考えつきませんでした。それぞれ感じは違うけどぴったりくるね。」
と、私の感想を話した。

 その後、音読発表会を行ったが、それぞれの子どもが思い思いにこだわったかえるくんやがまくんを表現することができた。
 子どもが教師の思惑を越え、その可能性や多様性を強く感じさせてくれた一こまである。
(甲賀町立佐山小)